カヴァーはオリジナルに迫るほど聴き込んで写し取ったようなコピーではない。それを楽しむ様でもいけない。オリジナル演奏者を超える演奏をするものではなくて、それがただ1回、初めて聞いただけで何かを感じて自分なりに演奏、録音してみたって言うプレイにこそオリジナリティを感じられるものです。歌い手自身が出ている。それがカヴァーではないかしら。元の歌い手の歌声がオーヴァーラップの様に聴こえてくるようではおもしろくない。
NHK-FMは、今日は一日“ビートルズカバーソング三昧”。それも“とことんやはり本物が聞きたくなるビートルズ・ソングス三昧”だ。本物を超えているようなカヴァーは、これまでにも時折放送されてきましたね。ビートルズの方がやはりすてきな演奏をしていると思わせるカヴァーを、アルバム収録曲と照らし合わせてのプログラム。午前1時までの長時間放送です。
シングル盤をざっと観ただけでもカバーソングをよくしてるビートルズ。取り立てて個性的にプレイしているわけではなく上品にこなしているだけだけど、自分たちの曲にしているのはすごい。それはきっと、ビートルズのメンバーがいずれも作詞家、作曲家としても共感できるところがあるからじゃないだろうか。同じシチュエーションの歌詞、コンセプトでオリジナルを作ることは出来るだろうけど、それをしないで、すでに言い表している音楽があるのならそれをビートルズの演奏が最初に示された録音のようにしてしまおうじゃないか、そのような思いがあったんじゃないかしら。
時にあるよね、インスピレーションを得て書いたような曲ばかりを発表しているようなバンド。アルバムの数を埋めるだけに作ったような、締め切りに追われて焼き直しにしただけのような曲。
そして、名曲で自分たちも演奏できるからってだけでステージで演奏したり録音したり。でも、どこか借り物なだけって感じ。
ビートルズのカヴァーはとってもたくさんあるから、オリジナリティに満ちたものからお遊びまである。カヴァーとはどういうことなのか、コピーとはどう違うのかが聴き込まれているビートルズだから聞き取れるだろうし、逆にあぁ、ここは気がつかなかったなと言う改めてビートルズを聞き返すことになるでしょう。
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