秋本番。熊本の午後いっぱいは、まだまだ気持ちがだらけるように気温が高かった日曜日。デスクワークも遅々と進まなかったものの、夕方過ぎて涼しく過ごしやすくなりました。もう、朝6時だというのに外はやや白々とし始めようとしています。カラスが遠くで朝の挨拶を交わしているけれども、秋の虫が賑やか。今夜は中秋の名月。
古楽の楽しみ -バッハの音楽-(1)
三本の音の線で彩なす鍵盤楽器の為のバッハの音楽としては3声のインヴェンションがありますが、バッハがケイテンでトリオ・ソナタの着想を得た時はまだ2つの管楽器で演奏するスタイルでした。それはライプチヒで更に高度なものとなります。オルガンで演奏される事でチェンバロ、ピアノでの演奏とは違って3つの音がきりりと描き出される魅力があります。作曲の動気は長男フリーデマンの音楽教育の為でした。故にバッハの作品群の中でも『トリオ・ソナタ』は奏者にとっては難関となっていますが、聞く分には親しみを感じるものです。
バッハの《トリオ・ソナタ》には、「トッカータとフーガ」などに聞くオルガン音楽らしい壮大なところが無く。穏やかでとらえどころが無い。しかし、その美しい構成美。6つのトリオ・ソナタの中でも第2番ハ短調のフィナーレは,バッハのオルガン音楽の洗練きわまれる美しさがあります。独創的な《トリオ・ソナタ》であるだけにバッハ研究の中では識者の見解が異なるところが多く、6曲はオリジナルの書き下ろしなのか既存の楽曲からの編曲であるのかはわかっていません。この曲集から転用されているところもあるので、幾分かは他の曲がオリジナルだとは思われます。
そのため、オルガンの為の《トリオ・ソナタ》を他の楽器で演奏する試みも面白いものです。美しい旋律美と室内楽としての密度の高さは,バッハの音楽作品中でも聴き込むほどに味わいの増す音楽です。
2011年9月12日 月曜日、午前6時 NHK-FMで放送 案内:礒山雅
- バッハの音楽 -(1)
「トリオ・ソナタ 第1番 変ホ長調 BWV525」バッハ作曲 (13分50秒)
「トリオ・ソナタ 第2番 ハ短調 BWV526」 バッハ作曲 (12分22秒)
(オルガン)ロレンツォ・ギエルミ
Trio Sonatas <Passacaille 967>
ミラノのサン・シプリチャーノ教会のオルガニスト、ミラノ国際音楽アカデミー古楽研究所、バーゼル・スコラカントルムで指導者として活躍するイタリアの名匠ロレンツォ・ギエルミ。
ロレンツォ・ギエルミは、自身が結成したラ・ディヴィナ・アルモニアと共にフランチェスコ・フェオの「ヨハネ受難曲」(Passacaille 964)を蘇演させるなど、演奏家としてはもちろんのこと、音楽学者としての実績も世界トップクラスです。
ギエルミが「ライプツィヒ・コラール集」(Passacaille 954)以来となるJ.S.バッハのレコーディングに選んだのは「トリオ・ソナタ集」。サン・シプリチャーノ教会のエアーレント・オルガン(1991年製)から優しく響く3声のソナタとギエルミの妙技が、大バッハのオルガン作品の奥深さを教えてくれます。試聴が出来ます http://www.allmusic.com/album/bach-trio-sonatas-w263795
録音:2010年4月25日&5月10日&6月3日、サン・シプリチャーノ教会(ミラノ)のアーレント・オルガンを使用
「トリオ・ソナタ 第3番 ニ短調 BWV527」 バッハ作曲 (13分46秒)
(オルガン)バンジャマン・アラール
Trio Sonatas for Organ (Dig) <Alpha 152>
バンジャマン・アラールは1985年生まれのオルガン奏者(でチェンバロ奏者)。弱冠20歳でパリのサン=ルイ=リル教会の正規オルガニストになった偉才。同教会のオルガンを縦横無尽に使いこなした多彩な音色と表現で聴かせる。トリオ・ソナタ第3番ニ短調。このBWV527は、「多彩なリズムと優美な曲想をもつ」(『バッハ事典』)ソナタで、その第2楽章は、BWV1044の第2楽章に転用されています。パリのサン=ルイ=リル教会のオルガンで録音。
「トリオ・ソナタ 第6番 ト長調 BWV530から」 バッハ作曲 (6分18秒)
- 第1楽章 ヴィヴァーチェ
- 第3楽章 アレグロ
(リコーダー)マリオン・フェアブリュッヘン
(チェンバロ)ミッツィ・メイヤーソン
Bach;Trio Sonatas<Harmonia mundi(仏) HMU 907119>
試聴が出来ます http://www.classical.com/album/HMU+907119
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